わが国の下水道は、大別して、公共下流域下水道水道、流域下水道、都市下水路の三つからなる。
下水道の設置その他の管理は、公共下水道、都市下水路については市町村、流域下水道については都道府県が行うのが原則である。
このうち、「流域下水道」とは、二つ以上の市町村の下水道事業を一元的に行うことが、市街地の健全な発展と公共用水域の水質汚濁防止を図るうえで効果的である地域において、流域関連公共下水道から排出される下水を処理するために整備する下水道であり、幹線管渠、ポンプ場、終末処理場より構成される。
つまり、行政区域を超え、河川などの流域に沿ってより広い地域の生活排水、工場排水等を合併し処理する下水処理方式である。
流域下水道方式は、昭和四〇年に大阪府の寝屋川流域下水道において初めて採用されたが、その後、昭和四五年の下水道法改正で法制化されたのを契機に、各地で試みられるようになった。
流域下水道方式が各地で採用される際、基底にある考え方は、狭い地域で個々に処理場を整備して下水の処理をするより、流域ごとに大規模な処理場を建設し処理したほうがより効率的である、というものである。河成鎮士氏によると、つまり、スケール・メリット(規模の利益)が働くので、より経済的な下水道の建設・維持管理ができると説明される。
しかし、この点については、流域下水道のほうが、単独公共下水道と較べて、むしろ建設費、維持管理費ともに高くつき、不経済で投資効率が悪く、下水道整備を資金の面で遅らせる要因になっている、という指摘もある。
なお、流域下水道方式の長所として、一般には、行政区単位でなく地形に合わせた合理的な施設配置ができること、水質・水量の変動が少なく維持管理のうえで有利であることなどがあげられる。
短所としては、大規模な施設となるので事業効果の発現が遅くなること、処理場周辺住民の反対などにより用地取得が困難なこともあって実現までに時間がかかることなどが問題とされる。